Instagramなど写真を加工してアップできるアプリがでてから、写真を加工をすることが一部の人の趣味ではなく、誰でも簡単にできるようになりました。
ちょっとした加工なら、そういったアプリでもいいんですが、せっかく一眼レフやミラーレスを持っているならチャレンジしてもらいたいのが、RAW現像です。
チャレンジするといってもそもそも「RAWって何?」、「現像って?」そんな疑問があるかと思います。
今回はこれからRAW現像を始める人に知っておいてもらいたいことを3つ紹介します。
RAWって何?
RAWとはカメラのセンサーが読み取った光の情報をそのまま持っているデータのことです。
デジタルカメラの「写真」はセンサーが光の強さを読み取ったものを処理して画像化したものです。センサーには光の三原色であるRGB(赤・緑・青)のそれぞれの色を記録できる部分があり、これによりカラー写真を撮ることができています。上の図はセンサー配置の代表的なものであり、機種やメーカーによって配置がことなる場合があります。
コンデジや一眼レフなどの幅広いデジタルカメラで撮影された時に保存される形式を「JPEG」(. jpg)と言いますが、これは読み込んだ色や光の強さの情報をカメラの画像エンジンが処理してつくられたデータなんです。画像処理の際に元々読み取っていたRGBのデータは各色に変換されて、人間が見てわからない程度の情報は全て圧縮されてしまいます。その為、後から大幅に色味を変えたりするのが、難しいデータ形式なんですね。
対して、RAWの場合はセンサーが読み取ったRGBのデータをそのまま保持しているので、色味や明るさを変更することがJPEGに比べ容易にできます。
つまり、RAWとは写真の基になるデータと考えてもらえれば大丈夫です。
RAWデータは「素材」
RAWは写真の基になるデータなので、そのままでは「写真」であるとは言えません。というのも、RAWはそのままでは印刷はできないし、ネットにアップしても写真としては認識されません。また、RAWを開くためのソフトがなければ、撮った画像を自分のPCで見ることもできません。(macならプレビューで見れるんですけどね。。)
RAWで撮影した画像はあくまで「素材」であり、後述するRAW現像とセットになってはじめて意味のあるデータだということを覚えておきましょう。
RAW現像って何?
前述したようにRAWはそのままの形ではPCでも開けないことが多いので、各社メーカーではRAWを開いたり、現像することができるソフトを用意しています。(NikonならView-NXi,Capture NX-d,CanonならDPPなど)
また、サードパーティー製のRAW現像ソフトも多数でています。(有名どころだとphotoshop,Lightroom,SILKYPIXなどです。)
RAW現像とはこれらのソフトを使ってRAWをJPEGに変換して写真として完成させる作業になります。
RAWで何ができる?
RAWは撮影した時の色の情報をそのまま持っているので、色味の変更や明るさの変更が簡単にできます。
例えば、この画像撮影した同じデータのJPEGとRAWをそれぞれ現像ソフトでWBを「蛍光灯」にしたものです。
上がJPEG、下がRAWなんですが、違いがわかるでしょうか?
JPEGから変換した場合、トーンジャンプと呼ばれる現象が起きやすくなります。これは画像が保持している色情報が少ないため、過度な変更をすると色が飽和してしまうことで起きます。
RAWの場合、上のような結構無茶な変更をしても、色情報を多く持っているため、正しい階調も持った写真に仕上がります。
RAWデータは元々持っている情報の範囲であれば色味の変更や明るさの変更などを写真の劣化を抑えながらすることができます。
RAWは「魔法のデータ」ではない
上の話を読んで「RAWって何でもできるんだ!」「撮影の時にカメラの設定をしっかりしなくても大丈夫じゃん」と思われる方もいたかもしれません。
ですが、RAWは何でもできる「魔法のデータ」ではないんです。
というのも、センサーは光を記録できる範囲(ダイナミックレンジといいます)が決まっており、その範囲外の情報(黒つぶれや白飛びといいます)についてはもともと記録されません。
RAWはダイナミックレンジ内の情報をそのまま持っているので、現像で対応できる範囲はJPEGに比べ広いですが、露出を上げすぎて真っ白な写真の色情報が完璧に戻ってくるわけではないのでご注意を!
やはり、撮影する時点でしっかりとした露出でとることが重要です。
ちょっと休憩
ここまででRAWとは写真の基になるデータということとRAW現像がどういったものなのかわかったかと思います。
ここからは、実際写真を仕上げていく際の考え方を紹介します。(今回はRAWで撮影をしてから写真を仕上げる際の考え方の1つを紹介しますので、実際の現像工程は紹介しません。実践編は後日記事にしますね!)
RAW現像は「家づくり」
個人的にはRAW現像は「家づくり」だと考えています。撮影するところから現像までのフローを紹介します。
施主の要望をよく聞く
家づくりは施主がどんな家を建てたいのかを考えるところから始まります。この段階では庭付き一戸建てがいいとかそのぐらいの漠然としたイメージが決まります。
写真も同じで今見ている風景や被写体をどんな感じで仕上げたいのかを考えるところから始まります。
個人で写真を撮る場合、ほとんどは自分が施主になると思います。
写真を撮る時にどこに心を動かされてシャッターを切ったのかを考えていくと、完成形がイメージしやすいです。
場合によっては、細かく設定しているとシャッターチャンスを逃しそうだからRAWで撮るということもありますが、それもまたRAWの使い方なので正しいです。
まずは、どういった完成形にしたいのかを考えましょう。
希望に合わせた間取り・建材を考える
次に家を建てる際になんとなく間取りや建材を考えます。例えば、子供部屋が欲しいとかフローリングがいいとか少し細部までイメージが出てくると思います。
写真の場合、実際にシャッターを切る時にここまで考えたイメージが実現できるように撮ることが大事です。空の青さを表現したいなら、少し露出を抑えて撮影するといったように現像時に自分の持つイメージに仕上がるように撮影するようにしましょう。
といっても、これがなかなか難しいので徐々に出来るようになればいいです。自分のカメラはどの程度までなら色が残るのか、どのぐらいの黒つぶれなら戻ってくるのかは写真を撮っていると感覚で掴めるようになるので、色々試してみましょう。
建築士に設計を依頼する
要望がまとまれば、実際に家を建てるための設計が始まります。実際の家づくりでも建築士の設計がうまくなければ、自分のイメージ通りの家は完成しません。
写真でいえば、建築士とは現像をする自分自身のこと。いきなり現像がうまくできることはないかもしれませんが、試行錯誤しながら上達できるのがRAW現像のいいところです。
家づくりと違って、おかしな写真になってもすぐに元に戻せますしね(笑)
図面通りに大工さんが家を建てる
後は図面に合わせて大工さんが家を建てます。実際に家をつくる大工さんを適当に決めると欠陥工事をされるということも考えられます。信頼できる業者を選びたいですよね。
写真の場合、大工さんに当たるのはRAW現像ソフト。このソフトの質がRAW現像後の写真の質に影響してきます。
Lightroomやメーカー純正ソフトなど信頼できるものを選びましょう。
LightroomとPhotoshopを使えるフォトグラフィプランなら月980円で使えるので、オススメです。
まとめ
今回はRAW現像を始める際に知ってもらいたいことを3つ紹介しました。
個人的には一眼レフ・ミラーレスはRAWというデータがあるおかげで幅広い表現ができるといっても過言ではないと思っています。
そのぐらい、画像の処理に関しては圧倒的な優位性をもっているデータなんです。
興味を持っていただけたのなら、ぜひRAW現像を始めてみてもらえれば嬉しいです。
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